国土交通省は「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」(以下、「指針」)を公表しています。この「指針」は、中古戸建て住宅の取引に共通の基準として平成26年に公表されました。
「指針」が公表されるまで、個別の住宅の状況にかかわらず、中古戸建て住宅については建築後20~25年で建物の市場価値を一律にゼロとする慣行がありました。しかし、それでは良質な維持管理やリフォームが行われている住宅の価値が適切に評価されているとはいえず、住宅流通市場活性化の阻害要因になっていると言われていました。
「指針」においては、建物を「基礎・躯体」部分と「内外装・設備」部分の大きく二つに分類。各部位でそれぞれの価格を算定し、部位の特性に応じて減価修正を施した上で合算して、建物全体の価格を導き出す手法を採用しています。
「基礎・躯体」部分については、性能に応じて20年より長い耐用年数を設定し、たとえば、「長期優良住宅」であれば100年を超える耐用年数とすることも許容しています。劣化が進行してないと確認された場合は、実際の築年数を短縮した年数を評価上の経過年数と設定することも。また、最低限の機能の残存が確認されれば、実際の築年数によらず、一定の時点まで評価上の経過年数が短縮されます
「内外装・設備」部分においては、適切な内外装・設備のリフォームを行った場合、基礎・躯体の機能が失われていない限りは住宅の価値は向上するととらえて評価に反映されます。内外装・設備の価値は、経過年数でほぼ一律に減価するものの、補修などが適切に行われることによって、その価値は何度でも回復・向上されます。また、同等の機能を有するものへの更新であれば、100%まで価値が回復するのです。